INTERVIEW
高橋直道氏インタビュー
2019年の夏、
このモノづくりがスタートしました。
きっかけは、高橋氏が出演されたあるTV番組。
たまたま見た番組で、素晴らしいスリッパと高橋氏を知り、「これだ!」と思い、
翌日すぐに工房へお電話をしたことがすべての始まりです。
東京都足立区にある工房サナックスにて、ここまでのお話を高橋さんにうかがいました。
(2020年初夏)
このモノづくりがスタートしました。
きっかけは、高橋氏が出演されたあるTV番組。
たまたま見た番組で、素晴らしいスリッパと高橋氏を知り、「これだ!」と思い、
翌日すぐに工房へお電話をしたことがすべての始まりです。
東京都足立区にある工房サナックスにて、ここまでのお話を高橋さんにうかがいました。
(2020年初夏)

FLY HIGH×高橋直道
オリジナルトラベルシューズができるまで
オリジナルトラベルシューズができるまで
はじまり。
F-H
本日はお時間頂き、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
高橋氏
こちらこそ、よろしくどうぞ
F-H
さっそくですが、まずはこのスリッパづくりの始まりからを一度振り返っておきたいと思いまして。
2019年の夏になります。旅先に持っていけるオリジナルのスリッパを作りたいと考えていて、イメージになる形を見つけたものの、それを具体的な商品にするためにはどうしたらいいだろう、と悩んでいる頃でした。
そんな時、本当に偶然、あるテレビ番組で高橋さんのスリッパとサナックス工房の映像を見たんです。「これだ!」と思って、翌日にすぐ工房へお電話しました。
2019年の夏になります。旅先に持っていけるオリジナルのスリッパを作りたいと考えていて、イメージになる形を見つけたものの、それを具体的な商品にするためにはどうしたらいいだろう、と悩んでいる頃でした。
そんな時、本当に偶然、あるテレビ番組で高橋さんのスリッパとサナックス工房の映像を見たんです。「これだ!」と思って、翌日にすぐ工房へお電話しました。
高橋氏
そうでしたか。
F-H
今思うと本当に突然ですし、こちらは立派な会社でもなくパーソナルブランドで、しかもまだスタートするかしないかという頃でした。よくお引き受けくださったなぁと、時々あらためて思い返すんです。なぜ、引き受けて下さったんでしょうか。
高橋氏
いやぁ、あのやっぱりね、ファーストインプレッション。それしかないんじゃないんですかね、うまく言えないんですけど。
やっぱり、この熱心さですよね。モノを持ってきて、「作ってもらいたい」という依頼の仕方がすごく真剣でしたよね。
それだと思います。
やっぱり、この熱心さですよね。モノを持ってきて、「作ってもらいたい」という依頼の仕方がすごく真剣でしたよね。
それだと思います。

高橋氏の工房「サナックス」 雑多に様々なものが置かれていながら、職人さんが無駄なく淡々と作業を進めてる清々しい空間です。

高橋氏は2020年で80歳!! 年齢を感じさせないアクティブな雰囲気と明快なお話。毎朝7kmのウォーキングとラジオ体操を欠かさないそう。
つくりはじめ。
F-H
今回お願いしたスリッパは、「旅」をテーマにしたもので、まずは女性が履くことをイメージしていました。
高橋氏
そうでしたね。
F-H
本来であれば、高橋さんのモデルを基本としてお願いするべきことだったのかもしれないですが、デザインに女性らしさを加えたスリッパを考えていたので、まったく新しい形のものをご相談させていただきました。
最初にこちらの要望をお伝えして、サンプルをお見せした時には、どんなことを思われましたか?
最初にこちらの要望をお伝えして、サンプルをお見せした時には、どんなことを思われましたか?
高橋氏
やっぱりね、私も私でストレートにものを聞いていましたし、言ってくる人もストレートにものを言ってきたと思うんですよ。
F-H
はい、そうですね。
高橋氏
長年スリッパを見てきていますけど、持ってこられたものは初めて見るフォルムでしたよ、製法もそうだし。私にできるんだろうか?とは思いましたよね。だから、時間がかかりました。
つくる。
F-H
初めの打ち合わせから4ヶ月くらいの頃でしょうか。そこまで何回もメールでのやりとりをさせていただき、最初のサンプルが出来て。それでも、なかなか思ったように出来ないと苦労されている様子が伝わってきました。こちらはただただ「職人」というお仕事のこだわりや凄さを感じていました。
高橋さんは今回「新しいチャレンジ」とおっしゃっていましたが、具体的にはどのようなことだったでしょうか。
高橋さんは今回「新しいチャレンジ」とおっしゃっていましたが、具体的にはどのようなことだったでしょうか。
高橋氏
要するに、これはサンダルですよね。(持ち込んだサンプルを手に)これを室内履きにもってくる難しさですよね。難しさは最初からわかっていたけれど、その難しさに挑んだってことですよね。
F-H
なるほど。

温かい雰囲気で雑談もしながら、こちらの要望を出来る限り盛り込んで形に導いてくださいました。床にはいくつもの試作が並んでいました。

高橋氏のスリッパは靴と同じ製法で作られます。木型を作り、足とのフィット感を模索していく、実に丁寧な細部の作り込みをされています。
こだわり。
F-H
今回、高橋さんが一番こだわられた部分と、正直難しかった部分や苦労された部分などお聞かせくださいますか?
高橋氏
まずは、オリジナルのフォルムを崩さないようにすること。
そして、日本人の足型に合うようにアレンジする部分ですね。まったくこれまでに例がないものだから。
そして、日本人の足型に合うようにアレンジする部分ですね。まったくこれまでに例がないものだから。
F-H
たしかに。
(シンプルなお答えだったのですが、まずは基本を忠実に再現し、そこからオリジナルを生み出していくという、膨大な時間をかけて試行錯誤してくださったこれまでの様子が本当に伝わってきました。)
(シンプルなお答えだったのですが、まずは基本を忠実に再現し、そこからオリジナルを生み出していくという、膨大な時間をかけて試行錯誤してくださったこれまでの様子が本当に伝わってきました。)
ものづくりとは。
F-H
お会いする時やメールを頂く時にいつも思うのですが、高橋さんは「つねに新しいことへチャレンジしたい」という思いも、とても大事にされていらっしゃるな、と。その原動力というか、スリッパ作りの新しいイメージやアイデアはどんな時に生まれるんですか?
高橋氏
寝るときでしょうね(笑)。寝床にはね、メモ用紙がたくさんあるんですよ。
ふっと寝床に入って落ち着いたときに浮かんでね、メモとかイラストを書いておく。イラストはね、上手い下手は別として、自分にわかるように書いておくというのが大事なんですよね。
ふっと寝床に入って落ち着いたときに浮かんでね、メモとかイラストを書いておく。イラストはね、上手い下手は別として、自分にわかるように書いておくというのが大事なんですよね。
F-H
寝る時にイラストを描かれているんですね。
F-H
以前お話し下さった時に、高橋さんは「努力は人を騙さない」ということを座右の銘にしていらっしゃるとお話しされていて、とても印象的でした。また、頂いたメールには「人生いくつになっても、初めてのトライは勇気のほかに知識が必要」と書かれていて、こちらもとても記憶に残っています。
高橋氏
努力は人を騙さないですね。その通りだと思います。
即、ものがね、お客さんが気に入った形にはならなくて、お客さんが気に入るようなものっていうのは、すぐに出来るものではないですね。ただ、努力していれば、最終的には人を騙すようなことにはならないと思うんです。
努力しないで採算だけで作っていたら、途中でやめてしまうかもしれないけど。これは自分の生き様じゃないですかね。
即、ものがね、お客さんが気に入った形にはならなくて、お客さんが気に入るようなものっていうのは、すぐに出来るものではないですね。ただ、努力していれば、最終的には人を騙すようなことにはならないと思うんです。
努力しないで採算だけで作っていたら、途中でやめてしまうかもしれないけど。これは自分の生き様じゃないですかね。

完成までもう少しのスリッパたち。一足づつ、木型に入れて作り込まれ、磨きをかけられ完成していきます。

これまでの「スリッパ」というイメージとはまったく違う、一足ごとに丁寧に磨かれ、驚くほどに美しく仕上がっていく、まさに「室内靴」。
さいごに。
F-H
もう少しでオリジナルのスリッパが完成します。私自身一番楽しみにしていますが、高橋さんにとってこのスリッパはどんな印象を残すプロダクトとなったでしょうか。
高橋氏
うーん、あらためて言われると恥ずかしいくらいなんですけど(笑)。
まずはお客さんが満足してくれるぐらいの形を作るということですよね。その後ですね、ああしよう、こうしようとやっていくのは。
まずはお客さんが満足してくれるぐらいの形を作るということですよね。その後ですね、ああしよう、こうしようとやっていくのは。
F-H
ありがとうございます。
そのメッセージを使ってくださるお客様に一緒にお届けしたいと思います。
そのメッセージを使ってくださるお客様に一緒にお届けしたいと思います。
F-H
最後にお聞きしたいですが、高橋さんは長い海外生活を北ベトナムやイタリアで過ごされていました、今のお仕事にはどんな影響がありますか?
高橋氏
ほとんど、どこへ行ったことも影響ありますよね。
北ベトナムに行ったときには戦中で、仕事の目的で行ったとはいえ、仕事どころか戦火の中を逃げ惑うような日々でした。正常な状態ではいられないような場所で、なんとか明日生きるためという思いでいましたね。
北ベトナムに行ったときには戦中で、仕事の目的で行ったとはいえ、仕事どころか戦火の中を逃げ惑うような日々でした。正常な状態ではいられないような場所で、なんとか明日生きるためという思いでいましたね。
F-H
貴重なお話しです。
(この時、ここでは書ききれない大きな記憶もお話しくださいました。こちらはあらためて別の記事でご紹介できたらと思います。)
F-H
これが本当に最後の質問です(笑)
高橋さんは今モノづくりで言われる「後継者不足」については、どのようにお考えですか?
高橋さんは今モノづくりで言われる「後継者不足」については、どのようにお考えですか?
高橋氏
あまり今は深く考えてはいないんだけど、やれるとこまでやれば、それはやる人も出てくるんだろうし、それくらいしか考えてないかな。
F-H
今ものづくりに励んでい入る若い人達に伝えたいこと、モノづくりで一番大切なことはどんなことですか?
高橋氏
まずは好きになること。
なんでもかんでも手を出すんじゃなくて、自分に正直に生きる。自分に正直に生きるって、そんなにすぐモノに飛びつくようなもんじゃないと思う。ただ、その時に自分に正直に生きて、いったん「これ」って思ったら好きになるってことしかないんじゃないですかね。好きになるものを探すことって、その人が努力しなかったら見つかるものも見つからない。すぐに好きになるわけでもないしね。
なんでもかんでも手を出すんじゃなくて、自分に正直に生きる。自分に正直に生きるって、そんなにすぐモノに飛びつくようなもんじゃないと思う。ただ、その時に自分に正直に生きて、いったん「これ」って思ったら好きになるってことしかないんじゃないですかね。好きになるものを探すことって、その人が努力しなかったら見つかるものも見つからない。すぐに好きになるわけでもないしね。
F-H
ほんとうにそうですね。心に響くお言葉だと思います。
高橋氏
靴業界に入った時、あまりにも劣悪な職場だったので、入った翌日に辞めようと思ったんですよ。そして辞めようと思ったら、職場でお金が無くなったという事があって、その時いとも簡単に濡れ衣を着せられてね、辞めるわけにいかなくなったんです。結局、一年半後くらいに事実が発覚して、私への濡れ衣だったことは謝ってこられたけれど。
なんでもそうですけど、最初は嫌なものでも、なんだかそこにいると、何かが見えてくると思うんですね。
早く答えを出そうとすると嫌になってくるし、早く答えを出してはならないっていうのかな。人や仕事のお付き合いもそうじゃないでしょうかね。やってみないとわからないけれど。早く答えを出そうと思わなければ、私もお付き合いできると思うんです。
早く答えを出そうとすると嫌になってくるし、早く答えを出してはならないっていうのかな。人や仕事のお付き合いもそうじゃないでしょうかね。やってみないとわからないけれど。早く答えを出そうと思わなければ、私もお付き合いできると思うんです。
F-H
とても貴重なお話、ありがとうございます。
本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。
本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

FLY HIGHオリジナルスリッパの試作。旅先に持っていきたくなるスリッパをイメージしながら、スリッパとしての機能もしっかり追求した一足に。

お部屋の中でも美しく、そして履き心地のいい素敵なスリッパがもう少しで完成します。
高橋直道氏のアトリエ 公式ホームページ
【 SANAX(サナックス)】 https://www.sanax-plan.jp/
【 SANAX(サナックス)】 https://www.sanax-plan.jp/